- 火星表面の水は、これまでの研究の想定よりはるか迅速に蒸発している可能性がある。
- 新たな研究は、この赤い惑星が非常に乾燥した地へと変貌した時期を理解するために役立つ可能性がある。
- 火星の状態の移り変わりをより良く理解することは、今後、火星における調査すべき場所を特定するため役立つ可能性もある。
火星の地表は埃(ほこり)っぽく乾燥しており、寒冷で容赦のない場所と言えます。とは言え、この地は常にこのような状態だったわけではないようです。この惑星の周りを周回する探査機や地表を移動してきた探査車によって収集されてきた数々の証拠は、かつてのこの赤い惑星の状態についての詳細を明らかにしてきました。
10億年以上前、火星の地表は液体の水で覆われていたと推測されています。泥岩地層のマレー・フォーメーション上層部付近で発見された硫酸塩鉱床は、火星の歴史のある時期に水の急速な蒸発が起こったことを証明するものとされています。
これらの水蒸気は宇宙空間に消失したという説になっていますが、研究者たちはこの蒸発がいつ、どのように起こったのかについても理解しようと試みてきました。そして新たな研究では、この疑問への答えが少しずつ明らかになる可能性があると言います。
それは…科学分野のニュースサイト「Science(サイエンス)」で2020年1月9日の公開された記事によれば、国際的な研究者チームによって火星の高層大気で予想を上回る量の水蒸気を発見したということ…。
この研究チームは、季節的な変化が過剰な水分の主な要因である考えています。火星の大気は砂嵐の多い時期に過飽和状態となり、この時期の水蒸気量は従来の見積りの10〜100倍にもなると推察しています。
そうして研究チームは、この点をさらに深く掘り下げるため、ロシア連邦宇宙局と欧州宇宙機関の微量ガス観測衛星「トレース・ガス・オービター」に協力を仰ぎました。火星の極めて低い大気温度は、過剰な水蒸気を凝縮させ雲を発生させてきたはずでしたが、「サイエンス」誌に掲載された今回の研究によれば、この現象が起こった証拠はなかったとのこと。
今回の「オービター(探査機)」の観測では、火星の水蒸気がこれまでの想定よりもはるかに短期間かつ容易に宇宙空間に消失した可能性を示唆しています。
これらの発見は、過去および現在の火星の地質や大気の状態をより良く理解するために役立つ可能性があり、この惑星に関して、最も多くの情報を得るために将来的にどの場所を調査すべきかを絞る手助けとなるかもしれないと発表しています。
Source / Popular Mechanics
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
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