Search

「水」から考えるファッションのサステナビリティと、6つの実践。 - VOGUE JAPAN

Photo: Amber Pinkerton

ファッション業界は紛れもなく水を大量に消費している。エレン・マッカーサー財団によると、繊維製品の生産には年間約930億立方メートルの水が使われており、これは、オリンピックの水泳プールに換算すると、3700万杯分に相当する。もはや天文学的数字すぎて、途方に暮れるレベルだ。

これだけの量の水の消費は、特に乾燥地帯に深刻な影響を与えている。WWF(世界自然保護基金)のグローバル・ウォーター・スチュワードシップで指揮を執るアレクシス・モーガンはこう語る。

「水資源への悪影響は、生産が行われている地域で真っ先に起こります。安全な水と衛生的な環境の確保に問題が生じてしまうのです」

しかし、問題は水の大量消費だけではない。河川の水質汚染も、また危惧されている。2012年の調査によると、衣類の染色と仕上げの工程で生じる廃水が、実は世界中の廃水のおよそ20%を占めると報告された。

「これにより、水路を利用できなくなる人がいます。なぜなら、例えば染色過程で用いられる化学物質の中に窒素や殺虫剤が含まれるため、その土地の飲料水を汚染しているのです」

私たちは今一度、1着の服が完成するまでに使用される水に対して意識を高め、賢く服を選ぶ必要がありそうだ。そのための6つヒントを、専門家たちに取材した。

1. オーガニックコットンを選ぶ。

ニューメキシコの綿畑では、ペイコス川の水を引き大型のスプリンクラーを用いて綿を栽培している。Photo: Getty Images

従来のコットン製品に使われてきた綿花は、生育に多くの水を必要とする。水資源の研究所によると、実はコットンTシャツ1枚を生産するために必要な水の量は、2,720リットルにもおよぶ。しかし、2017年に行われたテキスタイル・エクスチェンジ(Textile Exchange)の研究によると、オーガニックコットンを使うことで、「ブルーウォーター(地下水や、淡水湖や河川から供給される水)」の使用量を従来の綿よりも91%も削減することができるのだ。従来に比べて、これがずっと効率のよい水の活用方法であることは自明なのだ。モーガンもこう後押しする。

「適切な場所でオーガニックコットンを栽培すれば、水の消費量を抑えることができ、水質汚染も比較的少なく済むのです」

2. ローウォーター・ジーンズ を購入する。

インディゴ染色の様子。Photo: Getty Images

ジーンズを生産する際、方法次第では大量の水を消費することになる。一般的なジーンズ1本を生産するのに、最大で10,850リットルもの水を使わなければならないのだ。だからこそ、メーガン妃も愛用するアウトランドデニム(OUTLAND DENIM)などのブランドでは、ローウォーターという手法を使っている。

アウトランドデニムの創業者兼CEOのジェームズ・バートルは、こう話す。

「最も水を消費しなければならない過程の一つが、ジーンズの染料を洗い流す工程と仕上げです。私たちはそこで、レーザー機器などの革新的なテクノロジーを使うことによって、染料を洗い流す工程と漂白する工程での水の使用量を最大65%も削減することに成功しています」

3. ポリエステルは2つの意味でNG。

イギリスのサウスデボンにあるモセコムビーチに流れ着いたプラスチックゴミの数々。Photo by Dan Kitwood/Getty Images

すでに広く知られていることだが、水質汚染という点で、ポリエステルは重大な問題を抱えている。なぜなら、ポリエステルは洗濯する際に数多くのマイクロプラスチックを排出するからだ。小さなプラスチック破片は、最終的に私たちの飲み水に混入する危険があるほか、海洋生物が餌と間違えて体内に取り込んでしまうと重大な被害をもたらすことがわかっている。

またポリエステルは、その製造過程においても水質汚染の大きな原因となっている。適切に管理されていないと、コバルトや臭化ナトリウム、三酸化アンチモンといった有毒な化学物質が河川に流れ込む可能性があるのだ。モーガンの説明によれば、ポリエステルを管理・製造する過程で用いられるさまざまな化学物質が、水質に多大なる影響を与えている。

4. 原材料がどこから供給されているかを知る。

タイにあるシルク工場の様子。Photo: Luke Duggleby/Bloomberg via Getty Images

自分の着ている服の生地がどこで作られ、その製造過程で使われる水が環境にどのような影響を与えているかを知るためには、実際に自分で調べてみることも重要だ。例えばシルクやセルロースといった天然の素材であれば、製造過程で多くの水を消費することとなるが、生産地は水資源が豊かな場所であるということもある。

サステナブル・アパレル連合のヒッグインデックスでディレクターを務めるジュリー・ブラウンはこう説明する。

「生産地がどこにあるかを知れば、その製品がどれほどサステナブルなものか、そしてその代替品にどのようなものがあるのかを知ることができます。ファッションブランドがサプライチェーンに関する情報を開示するようになれば、それは環境に配慮しているというサインです」

5. 革製品に対する意識を高める。

皮なめしに特化したドイツの専門学校では、より環境負荷の低いなめし技術の研究が行われている。Photo by Sebastian Gollnow/picture alliance via Getty Images

革製品の加工や仕上げの工程で使われる水も、環境に大きな負荷を与えている。例えば、1足のカーフレザーの靴を生産するために使われる水の量は、およそ8,000リットルにも達する。水質汚染という点でも、皮なめし工場で用いられる化学物質が大きな懸念となっている。モーガンはこう提唱する。

「革製品を加工する際には、六価クロム(クロムの一種で危険性の高いもの)などの環境に深刻なダメージを与える化学物質が度々用いられます。より環境負荷の低い革製品を見つけるには、水の消費量と化学物質の使用量削減に取り組むレザー・ワーキング・グループ(Leather Working Group)に加盟しているブランドを探しましょう」

6. 洗濯回数を減らす。

Photo: Getty Images

私たち消費者が今すぐ実践できる水の節約方法は、洗濯する回数を減らすことだ。当たり前だが、服の洗濯には大量の水を使う。あまり汚していない服を洗うときには、ぜひ一度立ち止まって「本当に洗濯が必要かどうか」を考えてみよう。ブラウンは、洗濯方法の見直しも一考の価値があると勧める。

「洗濯する際には、ほんの数点を洗うのではなく、一気にたくさん洗ってしまいましょう。そうすれば、無駄になる水の量を減らすことができます」

Text: Emily Chan

Let's block ads! (Why?)



"水" - Google ニュース
March 30, 2020 at 06:40AM
https://ift.tt/2wAGhkZ

「水」から考えるファッションのサステナビリティと、6つの実践。 - VOGUE JAPAN
"水" - Google ニュース
https://ift.tt/2q5ymcb
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "「水」から考えるファッションのサステナビリティと、6つの実践。 - VOGUE JAPAN"

Post a Comment

Powered by Blogger.