ケニアの首都ナイロビから西へ約280kmに位置するマサイマラ国立保護区では、バッファロー、ゾウ、ライオン、ヒョウ、サイのビッグファイブや、草食動物を目の前で観察できるゲームドライブ(サファリツアー)が人気だ。ツアーに参加するにあたって押さえておきたいのが草食動物らがサバンナを大移動する「グレイト・マイグレーション」で、運が良ければシマウマやヌーがタンザニアとの国境を流れるマラ川を命がけで渡る、迫力ある川渡りのシーンを見ることができる。
約二百万頭のヌーや数十万頭のシマウマが、タンザニアの「セレンゲティ国立公園」とケニアの「マサイマラ国立保護区」の間を移動するのは季節の変わり目で、乾季が近づくとサバンナの大移動が始まる。しかし水や草を求めて移動するヌーやシマウマたちにとって最大の難関とも言えるのがマラ川の川渡りで、溺死したり巨大なワニに食べられてしまう個体も少なくない。
写真家ニミット・バーディさん(Nimit Virdi、32)は2018年1月、 この川渡りを一目見ようとマラ・エデン・サファリ・キャンプ(Mara Eden Safari Camp)のゲームドライブに参加した。ニミットさんはインド・タミルナードゥ州ウェリントン出身で、数多くの野生動物をカメラに収めてはSNSに投稿しており、この時の写真が今月1日、『Daily Mail Online』に掲載された。
ニミットさんはその日、約千頭以上のシマウマの群れがマラ川を渡る様子に出くわしたそうで、「シマウマの群れはしばらくの間、岸にいて川を渡るタイミングを見計らっていました。最初に約850ポンド(385キロ)はあろうかという大きなシマウマが川に飛び込むと、その後を追うように次々と川に入っていきました」と語り、こう続けた。
「しばらくすると、最初に飛び込んだ勇敢なシマウマに複数のワニが群がったのです。それはほんの一瞬の出来事で、その身体はあっという間にワニによって引き裂かれてしまったのです。」
「私たちは川の反対側のそれほど離れていない場所からその様子を見ていたのですが、川には10頭以上のワニがいたと思います。ワニは時速約32キロで水の中を移動できるうえ、体重が約1200ポンド(545キロ)にもなるわけですから、狙われたシマウマはひとたまりもありませんよ。自然界では本当に何が起こるか分からないものです。今生きていたものが、数秒後には餌になってしまうわけですからね。」
シマウマの中には、ワニの攻撃を受けながらも運よく助かった個体もいたようだが、ニミットさんの写真にはワニがシマウマの肉の一部をほおばる姿や、ワニの口からシマウマの脚だけが突き出している姿が映し出されており、自然界で生きる動物たちの厳しい世界を捉えた作品となっている。
ニミットさんは自身のInstagramにも当時の写真を投稿しており、「マラ川には2時間ほどいましたが、あの時は自分たちのグループしかいませんでした。今思い返してもゾクゾクするような興奮が蘇ってきますよ」と明かしている。
画像は『Daily Mail Online 2020年5月1日付「He should have legged it! Unlucky zebra’s limb sticks out of crocodile’s mouth after getting torn to pieces as it crossed a river」(Mediadrumimages/Nimit Virdi)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
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May 04, 2020 at 07:06PM
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