(株)テクノ 取締役会長 安丸 國勝 氏
3期12年間にわたって大刀洗町長を務め、退任後は建設コンサル・(株)テクノの取締役会長を務める安丸國勝氏。自治体の首長および建設コンサル経営者それぞれの経験を踏まえ、筑後川の課題について話を聞いた。
(聞き手:当社代表・児玉 直)
原因は遊水地の減少
――大刀洗町長時代から、安丸さんにとって筑後川流域の水害は大きな課題ですね。
安丸氏(以下、安丸) 筑後川流域は、数百年も前から水害に悩まされてきた地域です。とくに、1953年に起きた「昭和28年筑後川大水害」では、当時の大臣管理区間であった夜明地点下流だけでも26カ所で破堤し、災害者数は約54万人にもおよびました。これほどの被害をもたらす大雨は200年に一度と言われてきましたが、ここ数年は日本の各所で記録的な大雨が続いていますから・・・。
――大刀洗町内を流れるのは、筑後川の支流でしょうか。
安丸 筑後川水系の大刀洗川、陣屋川、佐田川が流れています。これら支流では、大雨で水位が上昇した本川からの逆流を防ぐために水門を閉じたことによって水があふれる「内水氾濫」が起こります。
ただし、同じ場所でも古くからある集落は比較的被害が少なく、新興住宅地で被害が多発しました。原因の1つに、土地開発が進んで住宅や商業施設が建てられた結果、洪水時の河川の流水を一時的に氾濫させる「遊水地」が失われてしまったことが挙げられます。
筑後川上流は、日本有数の火山帯地域で、川が大量の砂礫を運んで川床が高くなっていること。さらに、有明海へと注ぐ河口が入り江となっているため、干満の影響が上流にまでおよび、急勾配であることから、全国的に見ても河川管理が難しいと言われています。こうした複雑な地形をカバーする意味でも、河川の氾濫から市民を守る「遊水地」は、古くから重要な役割を担ってきたのです。
――改善策については、どのようなものがあると考えますか。
安丸 「遊水地」を維持することが一番ですが、たとえば、分譲住宅を建てる際は庭に木を植えるほか、舗装には透水性の高いコンクリートを採用する。一部の場所だけでも吸収率を変えれば、断然違ってくるでしょう。また、九州北部豪雨の際、杷木地区で大規模な土砂崩れがあったことからもわかるように、豪雨災害は森林破壊の問題とも連関しています。広域的・包括的に防災対策に取り組む必要があります。
私が取締役を務める(株)テクノは、道路・河川・砂防・橋梁などの測量設計業務や、土地調査・建物評価などの補償業務、既存施設の長寿命化にともなう点検・診断業務など、広範囲にわたり社会基盤整備事業に携わっていますが、町長時代にできなかったことにも積極的に取り組んでいきたいですね。
【文・構成:安永 真由】
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May 04, 2020 at 04:30AM
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【筑後川河川整備】課題は「遊水地」の確保~広域的・包括的な対策を:【公式】データ・マックス NETIB-NEWS - NET-IB NEWS
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