「水そのもの」あるいは「非常に水に近い性質をもつ」
8月1日は「水の日」。もともと水が不足しがちな8月に「貴重な水を大切にしよう」と1977年に制定された。その後、2014年に「水循環基本法」が施行され、「水の循環(じゅんかん)が健全であることの大切さについて、みんなでしっかり考えよう」という日として、法律で定められた。
今年から「水の日」を応援しているのが、ポケモン「シャワーズ」。愛らしいキャラクターでファンが多い。
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でも、数ある「水ポケモン」から、なぜシャワーズが選ばれたのだろう。
それはシャワーズが「水そのもの」あるいは「非常に水に近い性質をもつ」からだろう。シャワーズの細胞は水分子に似ていて、水にとけると見えなくなる。すなわち水と同化するということだ。
水はとても身近な存在であり、飲まないと生きていくことができない。その一方で、あらゆる物質のなかで最も不思議な性質をもっていると言われていることをご存知だろうか? ロンドン市バンク大学名誉教授のマーティン・チャップマン博士は、「水の常識はずれ」な性質を数えると「67もある」という。
そのいくつかを紹介しよう。
なぜ、人間の体温は一定なのか
私たちの体温は36~36度くらいに保たれている。これには水の性質が関係する。
太陽から熱を受けると、岩石や土壌など陸地の表面は、簡単に温度が上昇する。一方で、海水はなかなか温度が上昇しない。
水には「あたたまりにくく、さめにくい」という性質がある。一方、陸地は「あたたまりやすく、冷めやすい」という性質がある。陸地を構成する岩石や土は比熱が低いため、朝、太陽が昇るとすぐに温度が上がりはじまる。すると陸地の大気も、温度が上がった陸地に熱せられる。
一方、水の温度はなかなか上がらない。
この性質は私たちの生活に大きく影響する。
砂漠には、ほとんど水がないので、日中と夜間の温度差が、極端になる。
ただし、オアシスは地下にも水があるし、湧き出している泉も、水分を蓄えた植物も生えています。そのため昼間でも極端に高温にならず、夜間でも極端に低温にはならない。オアシスが生活しやすいのは、水があるだけでなく、気温変化が小さい体。
私たちが一定の体温を保つことができるのも水のおかげ。何しろ人間の体は、成人の場合、約60%が水なのだ。
水にはいろいろなものが溶けるおかげで人間は生きている
水は、いろいろなものをとかす。塩や砂糖だけでなく、岩石や金属まで、目に見えないつぶにしてとかしてしまう。
じつは私たちも水の溶かす力を利用して生きている。
たとえば、食べ物からとった栄養を体中に運ぶとき。 動物は食べ物からとった栄養を、胃や腸から血液の中に入れ、血液にのせて体中運ぶ。
水がものをよくとかすのは、水の分子に秘密がある。
1つは、いろいろな物質の分子を小さく分ける性質。 水に入った食塩の分子は、ナトリウムイオンと塩素イオンに分かれる。これは、水の分子に電気で引きよせる力があるため。
もう1つは、物質の分子とくっつく性質。 水の分子は水素の部分で、他の分子とくっつくことができる。
水ほど自分とは性質の違うものを数多く溶かす液体はほかにはない。海水には自然界に存在するすべての元素が溶けている。
飲みものに氷が浮かんでいるのは実は異常なこと
飲みものに入れた氷が浮かぶのも、氷山が海に浮かぶのも、あたりまえののようで、じつはあたりまえではない。
ふつうの物質は液体よりも固体のほうが重いのだ。

水が液体なのは温度が0~100℃のとき。このとき水の分子は、グループになったり、グループからはなれたりしながら、いろいろな方向へ向かって自由に動いている。
あたためると100℃で沸騰して気体になる。温度が上がると、分子の運動が激しくなり、グループから離れて外へ飛び出す。
そして、0℃以下に冷やされると氷(固体)になる。温度が下がると、分子同士がくっついて動かなくなる。
普通の物質は、液体でいるときよりも、固まって固体になったときのほうが、密度(体積あたりの重さ)が大きい。ところが水は、氷になると密度が小さくなる。
水分子は、不思議な形をしているので、きちんと並ならんでもすき間がたくさんできる。同じ体積で比べると、水より氷のほうが軽くなる。
もしも氷のほうが重かったら地球にいきものはいない?
寒い冬の朝、池に張った氷を割ってみると、なかは液体の水だ。

水の密度は4℃のときが最も大きく、それより温度が上がっても下がっても密度は小さくなる。水の温度が下がると、重くなった水は下へ沈む。しかし4℃より冷たくなると水は軽くなり、沈まなくなる。そして表面はどんどん温度が下がり、凍っていく。
池の氷で考えると、まず水の表面の冷たい空気に触れている部分が底の方の水より冷たくなる。温度が下がって重くなった水は底の方へ沈んでいく。表面の水がさらに冷たくなり4℃より下がってしまうと、水は沈まなくなって表面から凍りはじめる。
この水の性質がおかげで、多くのいきものは生きることができます。もし池の水が底から凍っていったとしたら、いきものは死に絶えてしまっただろう。
コップいっぱいに水を注いでもこぼれないのはなぜ?
雨がふった後、葉っぱの上に水のつぶを見ると、まるくなっている。

コップにぎりぎりまで水を入れてみると、コップの中央がもりあがっている。水がまるくなろうとする力を「表面張力」という。水の中にある水分子は、まわり中に水分子があって、おたがい引き合う力が働いている。
でも、水のいちばん外側の水分子は、空気と接していて不安定な状態。そこで水は、空気に接している面積をなるべく小さくして、安定した形になろうとする。
水の表面張力は、自然界にある物質としては水銀に次いで大きい。
表面張力の大きな液体は大きな球をつくるだけでなく、物質と物質の隙間にしみ込んでいく。
これを毛細管現象という。毛細管現象とは繊維と繊維の「すきま」のような細い空間を、重力や上下左右に関係なく液体が浸透していく現象で、植物は、土壌中の水に溶けた栄養分を細い根管から吸い上げ、さらに、導管と呼ばれる毛細管で高い茎の先や葉にまで吸い上げ、高い樹木として育つ。
これは日常いろいろなところに応用され、汗を吸いやすい服、水を吸いやすいタオルなどがつくられている。
打ち水をすると涼しくなるのはなぜか
夏の暑い日に道路に水をまく「打ち水」。打ち水の目的はアスファルトの表面に水をまいて表面温度を下げる。水は接するものから熱をうばって蒸発するのだ。
水は通常100℃で沸騰する。これはほかの液体に比べてとても高い。
水を構成する分子が、水素結合という強い力で結びついているため、気体になるには多くの熱エネルギーを必要とする。汗をかくと体温が下がって涼しくなるのもこのためで、汗が蒸発するときに体から熱を奪っている。
この気化熱があることで汗をかくと体温調節ができるのだ。
私たちが生きていられるのも水の不思議な性質のおかげ。
そんなことを考えてみたい「水の日」である。
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August 01, 2020 at 08:00AM
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