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福島原発処理水問題 地元に向き合うのが先だ | 論説 | 福井新聞ONLINE - 福井新聞

地元に向き合うのが先だ

2020年2月5日 午前7時20分

 【論説】東京電力福島第1原発で増え続ける処理水の処分方法などを議論してきた政府小委員会が大筋了承した提言案は事実上、海洋放出に絞り込むものだ。一方で、処分開始時期などは明記せず、政府に判断を委ねた。

 政府は大筋了承を受け各国の在京大使館関係者に向けた説明会を開催。海洋放出した場合の放射線監視体制の構築などが容易だとして「より確実に処分できる」と利点を強調した。福島などの農水産物の輸出に向け安全性を訴える必要があることは理解できる。

 ただ、まずは風評被害を懸念する地元漁業関係者らに向き合うのが先ではないか。なし崩しの放出を急ぐ前に不信を拭う努力が先決だろう。国民の不安や反発も根強い。政府と東電には理解を得る努力こそが求められている。

 3年余りにわたる小委の議論で東電と政府は、処理水を保管するタンクの容量が2022年夏には満杯になり、用地を確保できず増設は困難と主張した。廃棄物や資材のための用地も必要などと、廃炉達成こそが重要だとするような主張が目に余った。前例がないことを理由に地層注入などの案が却下されたのも「結論ありき」ではないか。

 小委が挙げた海洋と大気への放出について、科学的に健康への影響が極めて小さいことは専門家の間でも異論はないとされる。処理水に残るトリチウムは既存の原発からも放出することが認められ、実際に放出されてきた。処理水を全量放出したとしても自然被ばくに比べて影響はほとんどないとしている。

 それでも、地元の漁業関係者や農家は反発している。13年には120トンの汚染水の漏えいが確認された。東電会長が海洋放出を決めたと受け取れる発言をしたのも漁業者を激怒させたが、そうした中、浄化済みとされていた処理水の約8割にトリチウム以外の放射性物質が残留していたことも発覚した。

 情報隠しやずさんな現場管理など廃炉作業を巡る東電や政府への国民不信は募る一方だ。東電は処理水を再処理する方針を示しているが、当然の措置だ。科学的に安全だと強調しても、積もり積もった不信はそう簡単には払しょくできない。小委の議論でも風評被害の懸念が政府側に示され、紛糾した経緯がある。

 このまま海洋放出に踏み切れば、ようやく立ち直りつつある漁業や、作物の出荷が順当に進む農業に多大な影響が及ぶ可能性も否定できない。これまでの地道な努力が水泡に帰しかねない。提言案は幅広い関係者の意見を聞き透明性あるプロセスで方針を決定するよう求めている。政府、東電は批判の矢面に立つ覚悟で説明責任を果たすべきだ。

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