東京電力福島第1原発でたまり続ける処理水の処分方法を議論してきた政府小委員会は、海洋と大気への放出を「現実的な選択肢」とし、放射性物質の監視などの面から「海洋放出の方が確実」と強調する提言案を大筋で了承した。
議論開始から3年余り。ボールは政府に投げられた形だが、一方で小委は「地元をはじめとした関係者の意見を聴いた上で方針を示してほしい」とも要請。政府には、海洋放出ありきで一方的に進めることなく、地元などと丁寧に対話を重ね、不信を拭う努力が欠かせない。
処理水は、事故で溶け落ちた核燃料がある1~3号機の建屋内に注ぎ続けている冷却水や流入した地下水で発生した汚染水を、多核種除去設備(ALPS)で浄化処理した水。保管するタンクを新たに確保する計画もあるが、東電は2022年夏ごろには容量が満杯になると試算しており、廃炉作業への影響が指摘されている。
小委は地層注入、水素放出、地下埋設を含めた五つの処分方法を検討してきた。海洋放出については、大気放出に比べて希釈や拡散の状況が予測しやすいと評価。福島第1原発でも事故前に放出した実績があり、東電が設備設計や運用の知見を持つため、より確実な処分が可能だとした。
しかし、海洋放出には風評被害を恐れる地元の漁業者らが強く反対している。
漁業者が原発周辺海域での漁を自粛し、試験操業と放射能検査を繰り返してきた結果、本格操業に移行できる見通しがようやく立ちつつある。そうした中、政府が海洋放出を強行するようなことがあれば、漁業者がこれまで積み重ねてきた地道な努力が無駄になりかねない。漁業者が反対するのは当然だと言える。
風評被害については、小委も大きな懸念を抱いている。処分が実行されれば、原発事故そのものの風評被害に上乗せされる形で、さらに経済的影響が出る恐れが極めて高いと指摘している。
ALPSで除去できない放射性物質トリチウムは人体への影響が比較的小さいとされる。既存のほかの原発からも一定の濃度、量で放出されることが認められ、実際に放出が続いている。ただ、福島第1原発の処理水では、基準値を超す他の放射性物質も一部残留していることが判明。東電は、これらが基準値を下回る処理をしてから海洋放出するとしている。
それでも、保管されている処理水は現時点でも約118万トンと膨大な量だ。新たに確保するタンクの容量も約137万トンに上る。原発と東電に対する不信が続いている中、これだけの量の放出がなされれば、地元、そして国内外の消費者らの大きな不安を招くことは必至だろう。
いったん海洋放出してしまえば、後戻りはできない。政府はあらゆる疑問や不安の声に答え、対応する必要がある。なし崩しで進めれば、さらに広く禍根を残すことを強く認識しておくべきだ。
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February 05, 2020 at 06:03AM
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福島原発の処理水 疑問と不安の声に答えよ | 社説 | コラム - 熊本日日新聞
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