アパレル製品の生産プロセスの中で環境負荷を高める一因となっている、水の大量使用。製品の生産過程の中でも、特に染色は水を多く使うと言われており、全生産プロセスで使用する水の85%が染色で使われ、1キロの繊維を染めるのに100~150リットルの水が必要といわれる。そういった背景を踏まえ、「水」に焦点を当てたプロジェクトが今春ローンチした。
サステナブルを、次世代のスタンダードへ
総合ファッションアパレル企業の株式会社三陽商会が展開するコーポレートブランド「S.ESSENTIALS(エス エッセンシャルズ)」は、地球環境に配慮した素材やデザイン、縫製にこだわったものづくりで「着る人」だけでなく「社会」に対しても「ほんとうにいいもの」を追求するブランドだ。
今回、「人類が地球に生き残るためにはどうするべきか?」をテーマに新たな価値とモノの創造を行う株式会社リバースプロジェクトと共同開発し、コラボレーションライン「
S.STANDARD(エス スタンダード)」をスタートする。一時の流行ではなく、本質的で次の時代のスタンダードになるアイテムを作る意志をこめ、コラボレーションライン名を「S.STANDARD(エス スタンダード)」とした。心地よさと志を両立した、次世代のスタンダードのファッションアイテムを提案していく。
2020年春夏シーズンは、「ESSENTIAL WATER(エッセンシャルウォーター)」をテーマに、染色の工程で多くの水が使われることを鑑み、水を汚さない特殊技術による深みのある味わいを表現したシャツやワンピースを企画。「染色しない生成りの美しさ」を表現するアイテムとなっている。また、人工的な色彩が溢れる都会の中で、対照的に自然な色彩で映えるような生成りを目指す。さらに三陽商会の縫製技術を活かし、熟練技術者が集う国内の工場にて丁寧に生産を行う。
今回リバースプロジェクト代表伊勢谷友介氏が本取り組みについての想いを語るコンセプトムービーもコラボ商品発売に合わせ公開した。
アップサイクルした「宝石染め」のアイテムも
今回のコラボレーションに合わせ、「エス エッセンシャルズ」では「宝石染め」アイテムも企画。大きさや形の問題で使われずに眠っていた宝石を粉砕して染料化し、環境負荷のかかる媒染剤を使用せずに、染色後の水が透明になるほどの特殊技術を使って染め上げている。ピンクは「思慮深さ」という意味を持つピンクトルマリン、ネイビーは「叡智の石」とも呼ばれるラピスラズリを使用している。
今回のコレクションは、3月下旬より都内4店舗と公式オンラインストアで取り扱いを開始している。
資源となる繊維や、使用後のリサイクルといった視点でサステナブルファッションが語られることが多い中、生産過程における「水」の大量消費や汚染の問題に注目している面白い取り組みだ。環境に配慮しながらファッションを楽しむ選択肢は、今後さらに増えていくだろう。この機会に、環境に貢献する新たな視点を持って服を選んでみてはいかがだろうか。
【参照サイト】S.ESSENTIALS(エス エッセンシャルズ)
"水" - Google ニュース
April 07, 2020 at 10:00AM
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